米国シェールガスブーム
このところ、堂々とマスコミに載るシェールガス。この資源は、これまでの中東依存のエネルギー地図を塗り替え
る。シェールガスは、石油より深い岩盤の中で取れるガス。新しい採掘技術で、6~7ドル。従来型天然ガスは3~4ドルだが、エネルギー高騰で採算が取れるようになった。(石油換算1バレル35ドル~40ドル)
シェールガスの埋蔵量6600兆立方フィート。潜在埋蔵量(技術を無視)は2京 5300兆フィート。従来型天然ガス埋蔵量が6600兆立方フィートゆえ、その量が相当なものであることがわかる。
同じ岩盤層から取れるシェールオイル。その埋蔵量は、2兆~3兆バレル。原油埋蔵量1.3兆バレルに比べはるかに大きい。採掘コストも30ドルと採算に載る。
そしてこれらの最大の産地は米国が最大。中国、メキシコ、アルゼンチンも多いが、残念ながら日本からは取れない。
今、日本の火力発電の中で天然ガスの割合は4割以上。石油は1割以下で、石炭が4割。今後とも、天然ガスの割合が増える。石油の使用比率は、自動車3分の1、鉱業用、家庭用で3分の1、プラスチック2割。自動車が電気を賄い、鉱業、家庭のエネルギーをガスか電気で賄えば、石油の価値は大きく下がる。
このことをきっかけに3つの出来事が2011年に起こった。
1)アラブの春:アメリカ石油産業は、アラブの王政国家と結びつくことで利権を確保していた。しかし、長期的にアラブに原油を依存する必要がなくなれば、アラブに民主化が広がり、それが親米国家に及んだ場合でも被害は致命的にならない。そうすれば、アメリカに対抗する独裁国家を倒した方がよい。
2)環境問題の縮小:ヨーロッパの金融危機の陰に隠れてしまっただけに見えるが、実際は、もともとエネルギー革命を目指す目的が環境問題の裏にあったが、その動機は大きく後退した。そして太陽電池への動きもストップ。政府が出資した大手太陽電池パネルメーカー ソリンドラは倒産した。電気自動車も、一時の勢いは衰えつつある。(電気自動車に関してはヨーロッパ、日本は継続するため、続けるとは思うが…)
3)アメリカ軍の再編成:中東権益の必要性がなくなったことから、イラクから撤退。その軍隊を対中国に向けた。
このエネルギーの革命は、世界を大きく変えたことになる。