ペルーで2011年6月大統領決戦投票が行われます。フジモリケイコ氏(右写真)-元大統領フジモリ氏の娘-とオジャンタ・ウマラ氏の決戦。両氏とも貧困層が支持基盤です。
これで、南米はブラジルを始めとして、ほぼすべて社会主義政党による政権運営となります。(アルゼンチンは中道)
南米はポルトガル、スペインの征服が1500年代から始まり、先住民の虐殺、鉱山資源の搾取、プランテーション、そのための奴隷を獲得、いう流れがありました。その中で少数の白人と大量の非白人の社会が築かれ、おそらくラテン民族の資質と相まって、多くの混血の人(メスチソ)が生まれました。今やアルゼンチンやウルグアイを除くとその他の国はほとんどが非白人がマジョリティーとなっています。
この状況は、アメリカ合衆国と大きく異なります。アメリカは、多くがヨーロッパでの社会的迫害から家族ぐるみで移民し、ほとんどが混血しなかった歴史があります。一方南米は、プロテスタントとカソリックの差もあるとは思いますが、それより大きい理由は、男性が単身で新天地に乗り込み、搾取を求めた結果、アフリカなどから女性奴隷も連れてきており、それが混血に拍車をかけていたのだと言われています。
20世紀に入り、南米の政治の姿は、少数の白人が軍事を使った支配をし、それに対抗するゲリラ活動が活動する(ペルーの毛沢東主義派センデロルミノソなどが有名)というものでした。しかし、1980年にペルーでフジモリ大統領が誕生してから、非白人を支持母体とした政治が行われることが増え、2000年に入り、ブラジルのルーラ大統領や、ボリビアのエボモラレス(南米初の原住民出身の大統領)など貧困層を支持基盤にした政権が生まれています。
ブラジルの政権運営が大成功したこともあり、社会主義政党の中庸経済運営は今後も続くと思われ、その意味から南米の経済は今後とも安定した発展が見込まれます。
ただ、フジモリ元大統領の20年間の服役に代表されるように、政権を廻る争いは時に生死を廻るものであり、それはおそらく後20年くらいは変わらないかと思います。(台湾ですら同じことが起こっているのですから)