中国経済を考えるにあたって政治的背景、企業側背景の2つに分けて述べたいと思います。
<政治的背景>
1)まず、「もともと土地と企業はすべて国有だった」という点です。
それが1970年代後半から始まる市場主義経済の中で、民営化されていきました。その過程で、当然、多くの政府関係者が利益の恩恵を受けたと思われます。もともと、国営企業にはすべて共産党の党員がいて、社長よりも権限を持つような組織体でした。私自身も1990年前半に、機械設備の輸出販売をする中でその状況を見ています。
このような状態の中、土地や企業を国営から民営化へ、とする際に、共産党の実力者が利益を受けるのはある意味当然の状況とも言えます。明治時代の日本も、払い下げという名で多くの財産が政府の実力者かその関連者に渡されています。そして、その80年代~90年代にかけて、政府中枢にいた人は、革命期を乗り越えてきた人か、その人に選ばれた人たちであり、その子息が太子党ということになります。
2)「中国の軍隊は共産党の軍隊(私設軍)」ということ。そこには多くの軍関連企業があり、当然それも、共産党有力者が影響力を持っています。
3)一方、「中国共産主義青年団は、優秀な人が入団し、将来幹部になっていくコース。」科挙から脈々と流れる官僚主義の体制をここに見ることができます。ここに入る人は、親の威光がない人も多いです。
したがって、政府の権力闘争に、太子党閥と共青団閥が出来るという次第かと思います。
<企業側背景>
企業という点から経済を見ると、中国経済は、国営企業(銀行含む)、土地(不動産)関連企業、に、以下の3つのプレーヤーがいて成りたっています。
1)外資系企業。電気など輸出産業は100%の出資を承認しているが、内需の大きい、自動車は合弁のみ、通信、金融、鉄道などはほとんど許可していない。従って、許可をしていない産業での政府の影響は非常に大きくなります。
2)台湾、香港企業。実際は外資系企業が許されている産業と同じ、電気、電子、軽工業を中心に行っています。世界最大の受託加工業者Foxconnなどが一例です。
3)郷鎮企業に始まる、いわゆる中小ベンチャー企業。広東省、セッコウ省に多くあります。産業的には、軽工業が中心です。最近は小売、飲食チェーン、ネット産業、太陽光などの環境産業、一部、ハイテク産業にも進出し始めています。ただ、政府とよい関係を築かないと、大きくなりすぎるとたたかれる傾向にあります。
これらがどの産業分野で力を発揮しているか、その産業によって、どのように政府関連の人と人脈をつくるかなどをしっかり抑ることが、中国ビジネスで成功するためのコツだと思います。